直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

#小説

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑱

パン。パン。 静まり返った深夜、浜名湖を望む廃ホテル内に2発の銃声。 そして、乾いた靴音が慌ただしく駆け抜けた。わずかな月明かりが、拳銃を手にした人影をひび割れた廊下の壁に照らし出している。 やがてその人影は、廊下の突き当たりの部屋に滑るよう…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑰

平安時代に律令の解説書として撰集された「令義経」に次のような記述がある。 「悪疾所謂白癩、此病有虫食五臓。或眉睫堕落或鼻柱崩壊、或語声嘶変或支節解落也、亦能注染於傍人。故不可与人同床也」。 ※たぶん、「白癩という怖い病気がある。虫に内臓を食わ…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑯

VMAX1200は基本的に無差別殺人兵器である。 その為、専門的技術を有した「誰か」がオペレーティングルームで制御しなければならない。しかし今、それが可能なオペレーター全員がここにいる。 ギャラン・ドゥウの完全展開が解除していくにつれ、VMAX1200の逞…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑮

こちらから仕掛けても埒が明かない。銃弾は全て避けられる。ドスで向かってもCS250の二の舞だ。 しかし幸いな事に、あのバケモノは必ず、自分を攻撃した相手を殺しに近付いてくる。 得体の知れないバケモノに殺されるぐらいであれば、そのバケモノを殺して死…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑭

自分の背後に突如として発生した圧迫感に、CS250の本能は即座に反応した。不安定となった態勢を踏み堪えた右足を軸に全身を回転させ振り向いた瞬間。 VMAX1200の右前腕がしなりながら襲い、CS250の上半身は消し飛んだ。 下半身のみのCS250の死骸がじんわりと…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑬

「被検体、目標地点への降下成功。再起動を確認。地表激突時の衝撃による筋肉・骨格・内臓・神経系統の損傷ゼロ」 「ドーパミン値、正常に上昇中。アドレナリン変換機、システム・オールグリーン。交感神経とのコネクティング準備完了」 山葉組本部の地下の…

「永遠なる序章」椎名鱗三著

諸々思う事がありまして、JW-CADをダウンロードしてインストールしたのです。 で、早速、Z/KZ1300純正キャブ用のK&Nエアクリーナーアダプターの図面を制作しようとしましたのです。 結果は惨敗でしたです・・・。 つーか、曲線ってどー描くのよの、アレ。 何…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑫

静岡県・磐田市某所。Z1000J組の静岡侵攻部隊がアジトとする廃倉庫。 対山葉組攻撃班のリーダーを任されていたFX400Rは、西日が射しこむ割れた窓ガラス越しに外の様子を窺っていた。 特段、山葉組に新たな動きがあったという情報はない。しかし先日のZ会本家…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑪

ケンカ上手のZ1100GPらしからぬ、今回の関東侵攻における不手際に、GPZ1100Fは当初から不自然さを感じていた。そして今日の幹部会における顛末。 「裏がある」、GPZ1100Fが抱いていた疑念は確信に変わった。 幹部会が終わると、GPZ1100Fは配下の者にZ1100GP…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑩

Z1100GP組の関東侵攻部隊を率いるはずであったVN1500が、本田技研興業のヒットマンであるV45マグナに暗殺されたのは、本田技研興業本部ビル襲撃の半月後の事であった。 まさに、出端をくじかれる格好となった。 Z1100GPは急遽、バルカン800をVN1500の後釜に…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑨

日も明けきらない早朝、六本木方面から一台のワンボックス車が外苑東通りを走っていた。 やがてワンボックス車は、左折し右折してから、青山一丁目の交差点の直前で道路の左端に停車した。 「オイ、ここは駐車禁止だ、さっさと失せろ!」 静謐な早朝の空気を…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑧

Z会も一般的な暴力団と同様に、組長(会長)のZ1000Rの下にNo2の若頭(副会長)であるZ1100GPの他、舎弟であるZ1000JやGPZ1100Fなどで構成されている。当然ながらZ会の舎弟は各自、それぞれ下部暴力団の組長だ。いわゆる親分と子分の封建的な世界である。 し…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑦

ガンガンガン。 「誰だ~?」 「お前のあんちゃんだよ」 「あんちゃん?嘘だろ~」 「あんちゃんだよ」 「ホントか~?」 「ホントだよ」 「じゃあよう、答えてみろ」 「何を?」 「うんとねえ、夜の公園でカップルがチューをしていました。どうするのが正し…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑥

FJ1200が部屋から姿を消すと、それと入れ替わりに貧相な男が入ってきた。 そしてZ1300の前に正座すると、「いや~流石は御館様。内閣総理大臣でさえ、あれではまさに蛇に睨まれた蛙。このナイトホーク250、感服仕りました!」と頭を下げながら、おべんちゃら…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説⑤

FJ1200内閣の政策の目玉の1つが「脱原発」。 原子力から代替エネルギーに転換すべくその分野への予算拡大、すなわち原発関連予算の削減を今次通常国会でめざす事としていた。そのために設置したのが「原子力発電所検討委員会」である。 FJ1200自らが議長を…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説④

その日の公務を終えたFJ1200内閣総理大臣は陰鬱な面持ちで、公用リムジンの後部座席に座っていた。 やがて首相を乗せたリムジンは、都内某所のある屋敷に到着。正門でなく屋敷の裏手でリムジンを降りたFJ1200は、SPも連れず、それこそ人目を憚るように通用門…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説③

Z会による東日本侵攻は、まずは外堀を埋めるといった正攻法であった すなわち、北陸から日本海沿いの東北地方を支配下に置くと、一気に岩手・宮城・福島を強襲。さらに、岐阜・長野・山梨も無血開城となり、三重から静岡までの太平洋沿岸と関東1都6県以外の…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説②

「ムショ暮らしが余程堪えたみてえだな、涙もろくなって帰ってきやがった。頼むからよ、湿っぽいのは勘弁してくれ」 会長の椅子に座るZ1000Rの隣に立つ、Z1100GPが冗談めかして言った。それからZ1000Jに歩み寄ると、無言で抱きついてきた。 「すまん兄弟・・…

極めて限定的なオートバイ好きのため「だけ」の小説①

がしゃん。 背後で鉄製の扉が閉められる音がした。Z1000Jにとって4年ぶりのシャバである。 「アニキ!お勤めご苦労様です!」 懐かしい声がした。 声のする方に目をやると、舎弟のZ400FXの姿があった。 少し間を置き、Z400FXに向かって歩き出すZ1000J。Z400…