直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

「永遠なる序章」椎名鱗三著

諸々思う事がありまして、JW-CADをダウンロードしてインストールしたのです。
で、早速、Z/KZ1300純正キャブ用のK&Nエアクリーナーアダプターの図面を制作しようとしましたのです。
結果は惨敗でしたです・・・。

つーか、曲線ってどー描くのよの、アレ。
何か、数値を入力したら、思い通りの楕円が描けると思っていたのに、マウスで手書きみたいにしないと書けないっぽい・・・。
まあ、これから勉強ですな。

それよりも。JW-CADって基準ないのかしら。
要は方眼紙にモリモリ図形を描いていくみたいな。

基準は重要よ。それが明確でないと一切が瓦解しますからな。

で、まあ、私が「こりゃオモシロイ!」と思った本を紹介していこうと、新たな書庫を開設したにあたり、私の「こりゃオモシロイ!」の基準となる本を紹介するです。

椎名鱗三著「永遠なる序章」。
本当に愉快で楽しい明るい小説です。
ブックオフとかで、300円ぐらいでゴロゴロ売っていますから試に買って読んでみてくださいです。

主人公は砂川安太という好青年で、余命3ヵ月を宣告されます。余命宣告されてからの安太は、愚かの極みを体現するかの如く生活します。
すなわち、人を愛し、労働を満喫し、根源的な人の営みに満足します。下宿先の汚い醜いオバサンを強姦するぐらい人間愛に満ち溢れてしまうのです、この死にぞこないのクズ人間。

で、そんな安太の有様が許せん人が出てきます。
名前は忘れましたが、自分の妹を強姦するクズ医者です。
コイツ、最後は自宅に火をつけ焼身自殺します。

これじゃあ確かに、妹は偶然を信じるしかないですなあ。

そんなこんなで、この小説の登場人物全員、永遠なる序章に落ち着きます。
始まる事も、終わる事もない、単にその瞬間・その場に存在するだけの、ニンゲンにしか過ぎない記号。生も死も超越し、ただそこにあるだけ存在。

この小説が書かれた時代は、全開バリバリの「戦後」。
いわゆる、マジメ面したインテリバカの「第一次戦後派」に属する作品です。で、その中で最強クラスの傑作が、この「永遠なる序章」です。
野間宏の「暗い絵」、大岡昇平の「野火」、武田泰淳の「ひかりごけ」、梅崎春生の「桜島」、どれも確かにスバラシイのですが、椎名鱗三と比べるとい何かイマイチです。

とにもかくにも、椎名鱗三なる作家の、ドス黒過ぎるシニカルでアッケラカンとしたブラックユーモアを特攻隊長に起用して、人間の本質を抉り取る術には心の底から脱帽です。
イヤ、ホント、文章の上手さがハンパないのです。だーかーらー、あれだけ哲学的にドン詰まりの難解なテーマを取り上げているにもかかわらずサクサク読めます。コレがスゴイ。

椎名鱗三で永遠なる序章を勧めるなんて、ある意味、恥ずかしいのです。
だって、もっとたくさん、名作がいっぱいありますから。
深夜の酒宴、懲役人の告発、自由の彼方に、美しい女、などなど。
特に美しい女の腐った海苔巻とか、もーね、愛おしくって、抱きしめたくって、タマリマセン!

結局ですな、戦後直後の日本文学、太宰治ビートルズなら、椎名鱗三はボブ・ディランです。