直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

キャブが組めない・・・

よく耳にする話。
「古いオートバイに乗っているのですが、始動性が悪いからイリジウムプラグにしました」。
 
実はコレ、肥溜めに落ちちゃった人が、お風呂にも入らず、服も着替えず、歯磨きだけして「コレで私の全身はキレイになるはずだ!」と言っているようなものです。意味ないです。
 
古いオートバイで始動性が悪かったり、エンジンの調子が悪いのは、キャブがダメだったり、点火時期がおかしかったり、ヤバいぐらいにオイルが上がったり下がったりするワケで、1本1500円ぐらいする高級なイリジウムプラグに交換しても意味ないです。むしろ、悪化する事が多いです。
 
そもそもノーマルの新品プラグでオカシイようなら、問題はプラグ以外です。まずは、そこを修理するのが正しいです。
 
キャブレターの不調に関しては、まあ、いろいろありますが私のようなズボラな素人日曜修理工だと、
●燃料・空気通路の確保
●フロートバルブの段付き摩耗の点検
●ニードル位置
●油面
●エアスクリュー
●2キャブ以上の場合は同調
このぐらいしかしませんです。まあ、たぶん、これじゃ全然足りないのでしょうが。
それでも意外とマトモになるです。
 
点火関係はポイント点火なら、
●点火時期の確認
コンデンサーのパンク
●ガバナーのバネ
●プラグコード
●プラグキャップ
ぐらいですかねえ。なお、あくまで「プラグはノーマル番手の新品に交換」が絶対条件です。
 
セミトラ・フルトラだと、単純に点火系のブラックボックス的な部品、ピックアップコイルやイグナイターとかの点検しかないですな。古いバイクでこーした部品が壊れると史上最悪です。
 
ヤバいぐらいにオイルが上がったり下がったりしている場合は、オートバイ屋さんにお願いするか、新たにオートバイを買いましょう。
自分で直す!ま、まあ、人生何事も経験、勉強と言いますからね。止めはしませんが、絶対に勧めません。
 
要は、イリジウムプラグには、マイナスをゼロにする能力はありませんです。ゼロをプラスにする部品です。
サーキットとか最新鋭の高性能バイクで少しでも性能を上げたい場合に使う部品です。壊れたオートバイの魔法のカンフル剤ではないのです。
 
ですから、自分の愛車にイリジウムプラグ取り付けるのは、「真冬でも一発始動!絶好調!!」になってからです。そーなったら、古いオートバイ好きの人は誰もイリジウムプラグは使わないでしょう。意味ないし、高いですし。
 
同じような理由でアーシングも意味ないです。アーシング用の電線を買うお金があれば、メインハーネスを新造する資金の足しにした方が節約上手の奥さまです。
 
ノーマルキャブのボディ自体が歪んだり(実際ありました)、内部が摩耗したり(実際にありました)して、決定的に寿命を迎えてダメ~になった時は、FCRとかTMRとかナウな高性能キャブにするのはアリだと思いますです。
古いオートバイのノーマルキャブなんか新品が手に入りませんから。
 
でも、プラグはノーマルの新品がいくらでも手に入るです。だから「修理上の観点」から意味のないイリジウムプラグはイラナイ子なのです。特にZ/KZ1300は6本必要ですから、本当に虚しい買い物になるです。
 
そうそう、プラグに関しては基本的に一度カブってしまったら再利用は考えない方がいいです。
バーナーで焼いてから電動ドリルにワイヤーブラシで磨いても、完全にカブった状態よりマシになった程度で、まず復活しませんから。そんな状態のプラグを使っていると、本当の不調の原因がますますワカランようになり、お金も手間も時間も余計にかかります。
サンドブラストしたら完全復活するかもしれませんが、間違いなく新品のプラグを買った方が安いです。
 
いずれにしても、30年・40年以上前の古いオートバイで、東京~九州をノントラブルで往復できるようにする事を目指すのであれば、まずは可能な限りノーマル状態でちゃんと修理する事をおススメするです。
 
ショベルや空冷Zみたいなオートバイだと、修理のついでにトレンディでイカしたキャブやマフラーやホイールやサスやブレーキにしたくなると思います。ですが、まずはそのオートバイがノーマル状態でちゃんと走るようにしてから、そーしたシビれる部品を取り付けた方がトータルで安くなるですし、精神衛生上、好ましいと思うです。
 
まあ古いオートバイの場合、、実は完全ノーマル状態で修理するのが一番困難だったりするのですが・・・
 
結局ですな、自分の手でオートバイを修理するのであれば、使う時はパ~ッとお金を使った方が安上がりです。
そもそもオートバイ屋さんで10万円の修理が、自分でやったら1万円で済むなんて事、まずありませんです。
節約できるのは工賃ぐらいですからな、実際。それも、組み付けを失敗して部品を壊したり、ヘンテコリンな特殊工具を買うハメになったり、オートバイ屋さんにお任せするより高くつく事も良くありますです。
 
てか実際はキチンと直っていないのに、、素人の妄想全開で「この魔法の部品を使ったら直りました」とか、「こんなお手軽な方法で絶好調です」とかって記事、ネットであんまりUPしない方がいいです。これはヘンなオートバイ雑誌とかも同じですけど。
特に30年・40年以上前の古いオートバイの場合、そんな方法では基本的に直っていませんから。
そー言えば昔、「古いオートバイのメインハーネスを作り直しました。でもギボシは古いハーネスのものを利用しました!」って記事が、なんかの雑誌に載っていましたです。それ、ハーネスを作り直した意味ないじゃん・・・
 
要はですな、いくらネットがルール無用の匿名残虐ファイト上等のヒャッハー!な場だとしても、オートバイの整備・修理がダメダメだと、リアルで本人や他人が死んじゃいますからな。
 
と、キャブのドレンプラグを注文し忘れ、未だにキャブが組み立てられない素人が偉そうに宣ってみましたです。