直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

悔しかったらエンジン単体でタミヤのプラモデルになってみんしゃい

オートバイの話です。

「カッコイイ!」って話の際、オートバイと自動車の決定的な違いは、エンジンなのです。
自動車はだいたい、エンジンが外から見えません。
一方、オートバイの場合だと、空力性能の向上の為、プラッチックのカバーで全体を覆っている「フルカウル」ってのもありますが、結構な確率でエンジンが外から見えます。

つまり、多くのオートバイのカッコ良さにおいてエンジンの見た目は非常に重要です。

私なんかはね、オートバイのカッコ良さって、蒸気機関車のカッコ良さに通じると思うのですよ。
蒸気機関車のカッコ良さとは何か?
原動機が独立した単体として、原野を疾走する姿である。

いろんな乗り物、船も飛行機も自動車も電車も、基本的にエンジンは隠れています。正確にはエンジンは乗り物の1構成要素に過ぎません。
しかし、蒸気機関車はエンジン自体が本体で、やむを得ず動輪とか運転席とかが申し訳ない程度に取り付けられています。
ああ、そうですよ、国内外に関係なく蒸気機関車って、私の大好きなエレファント重駆逐戦車や伊勢型航空戦艦やP61夜間戦闘機やスコープ・ドッグよりカッコ良いです。アメリカのビッグボーイって蒸気機関車、たぶん人類が生み出した、最もカッコ良い乗り物でしょうなあ。
ただ、セヴァストポリ要塞を粉砕した80センチ列車砲は互角かも。ナニ?列車砲は乗り物ではないだと?嘘をつくんじゃない。
そんなワケでして、80センチ列車砲を牽引するビッグボーイはイデの力を粉砕するでしょうなあ。
ヤバイ、私、実はアニメオタクの鉄ちゃんだった・・・。

そーか。今思いついたのですが、ヨットも含めた帆船のカッコ良さも、意外とこれかも?あれもなんらかのエネルギーを動力に変換する装置がむき出しだからカッコ良いのかもしれない。
では自転車は?そーなると、オートバイの話に戻りますな。

オートバイって、普通にその辺でゴロゴロしている乗り物のクセにエンジンが剥き出しだから、「私はコレで動いてます!」ってダイレクトにアピールしてるのよ。だから、カッコ良いのでしょうな。
まあ実際、私、フルカウルのオートバイに感じるカッコ良さって、飛行機やミサイル的なカッコ良さだったりします。
私が求める乗り物のカッコ良さは蒸気機関車なワケですから、必然的に「エンジン剥き出しのオートバイしか欲しくない」となってしまうのでしょうな。だからレプリカブームを受け入れられず、下手くそ・ビビりなオートバイ乗りなのでしょうね。

エンジンのカッコ良さとは?
機能美、とはちょっと違うのかもね。
合理性・機能性・効率性・生産性を突き詰めれば、機能美が自動的に発生するって勘違いしているバカは多いと思います。
私が感服した言葉に、建築家の丹下健三先生の「機能的なものが美しいのではない。美しきもののみ機能的である」ってのがあるのよね。
確かにそーだわな。
でもさ、これ、疑問が生じるよね。じゃあなんで、美しさなんて全く無視して、機能だけを限界まで追求して作ったレーシングマシンや戦闘機や軍艦が美しいのかの説明にならないですから。
諸君、深呼吸して目を瞑り、胸に手を置いて考えてみたまえ。丹下先生は創造者ですよ。

確かに、造り手が自ら意識できる目的は機能一辺倒であろう。しかし、「戦争に負けた極東の島国の俺達だって世界一になれるんだ!お前ら自慢のスイス製腕時計より精緻なエンジンを完成させてやる!」とか、「このまま地方の下請・零細の飛行機製造会社で終わってたまるもんか。P40と同じエンジンを使って最高の戦闘機を造ってやる!」、みたいなノリ。逆境にあろうがなかろうが、モノを造る能力があり、それが可能な立場にある人は、そー考えると思うのよね。

人類を万物の霊長にならしめた、自然が人類に与えた「這い上がってやる。誰かを打ちかましてやる」という本能。

この本能こそ、私は人間という動物が有する最も肝心な機能美だと思うのですよ。脳ミソの相対的高スペックとか、道具が使える両手とか、2足歩行とか、両目が正面を向いてるとか以上の。
そんな人類の本能が、製作なる行為を経て完成した結果に反映されてしまったレーシングマシンや兵器にのみ、機能美って生まれるんじゃないかしら?

丹下先生が設計した代々木の体育館。アレはね、目的はあくまで「ロイド越え」を目指した最高デザインの建築物にする事だったんだけど、結果的に、火事とかあった際に観客が最も安全・迅速に避難できるようになっているのよね。天井サーブのメッカにもなったし。

モノ造りで美を生み出すって事は、マニュアル通りに「機能とコストとデザインと顧客ニーズに迎合すれば」って低次元の話じゃなえんだよ!ってのが、丹下先生の「機能的なものが美しいのではない。美しきもののみ機能的である」との箴言の意味だと私は理解しますです。

ではオートバイのエンジン。
鉄シリンダーのハーレーのエンジンは総じてカッコ良いわな。
ホンダのCB750Fourとかもカッコ良い。
ノートンマンクスとか、ドカティの750パンタとか、もう失禁モンですわ。
この辺のオートバイのエンジン、全部「空冷エンジン」なのよね。

オートバイのエンジンはザックリ分けると、「空冷」と「水冷」になります。
で、オートバイ愛好家、と言いますか、オートバイ好きの低レベル階級はね、「空冷エンジンは美しい」とかほざくのよ。
なるほど。確かに「カッコ良いエンジン」グループでは、空冷エンジンが占める割合は高いです。
これは統計上の数値データでも間違いないです。
だからって、空冷=カッコ良いって方程式にはならんでしょうが。
空冷がカッコ良いのではなく、カッコ良いエンジンに空冷が多いってだけですからね。
こういった正しい認識ができない人を「頭が悪い」と呼びます。

つーか、カッコ悪い空冷エンジンなんざ腐るほどあるわい。
ホンダのさ、カクカクした750四気筒。アレですよ、二昔前の白バイに使っていたホライゾンとか、RC42とかのエンジン。いっちゃ悪いが1100カタナも、エンジンはカッコ良くねーし。つーかBMWの水平2気筒、私の好きなレトロ世代のヤツでも、かなりカッコ悪い。あのエンジンのクランクケース、海外のお土産で貰って「不吉な感じな味がする迷惑な菓子系食品」的な不快感があるのよね。
つーかカブ系の、あのシリンダーが地面と水平の空冷短気筒エンジン、かなりカッコ悪い。

そもそもさ、空冷エンジンのフィン、あれは鉄シリンダーだからやむを得ず薄くてエッジが効いて堀を深く作ってるからカッコ良いのであって、今のアルミシリンダーの分厚くダルいモケモケだと、ホントに貧乏臭くて始末に終えんです。だから私、エボ以降のビッグツインって嫌いなのです。

いずれにしても「空冷だからカッコ良いエンジン」という概念は、「水冷エンジン空冷エンジンのようなフィンを付ければカッコ良くなる」理論という、おぞましい怪物を生み出しました。
ジャメリカン内部だけで済んでいればまだ良かったものの、それが一般市民権を得てしまっている現状。
マジで、これやってる会社、全部、中国企業になれよ!って思うです。

確かにですな、カッコ良い水冷エンジンって少ないです。
その原因は、オートバイのエンジンが空冷から水冷に移行する時代と、フルカウルOK!となった時代とが被ってしまったから。仕方がないのかもしれません。GPZ900Rのエンジンの絶望的なカッコ悪さを目の当たりにすると、つくづくそう思います。本当は「見えない所こそカッコ良く」が日本文化的に正しいのにね。

そもそも1980年代は、RC110やP51マスタングが誕生する時のノリで量産型オートバイは作られなくなってしまった時代ですからね。そーなると、カッコ良い水冷エンジンって存在しないのでしょうな。

ま、Z/KZ1300のエンジンのカッコ良さは、一切の空冷エンジンのカッコ良さを圧倒しますがね。
ゲラゲラ。