オートバイ論
今からだいたい20年以上前、第三京浜をGPZ900Rでブイブイ言わせていた人が、今ではベビーライラックの収集家になっているとか。
まあ、そーゆーのって、オートバイの世界では珍しくなかったりしますです。
こうした事象に遭遇した際、多くの人は「なるほど、年齢を重ねる事によって、GPZ900Rブイブイさんもニンゲン的に丸くなって、価値観や趣向が変わったなのですなあ」と分析される事でしょう。
実は違うのです。
そうなのです、ベビーライラックは時速380キロ出るのです！
嘘です。
結論を述べると、オートバイなんて、4stだろうが、2stだろうが、50ｃｃだろうが、5700ccだろうが、SVだろうが、DOHCだろうが、オンだろうが、オフだろうが、レーサーだろうが、チョッパーだろうが、族車だろうが、最新型だろうが、骨董品だろうが、単気筒だろうが、四気筒だろうが、スクーターだろうが、まあ、とにかく、どれも一緒です。
もちろん、上記のような物理的・構造的な差異によって生じる、表面上の特性変化はありますケドね。
でもね、所詮はエンジンでタイヤ回して、車体を傾けて曲がるのだけの乗り物ですからね。本質的にはどれも一緒です。
性能？一番どーでもイイ要素ですな。あのですね、オートバイを運転する人の技量なんて千差万別。マトモに運転できない人は、全く理解できないでしょうが、オートバイの速い・遅いって、運転者の技量7割・オートバイの性能3割です。それ、たぶん、今も一緒です。
だーかーらー、「オートバイで速く走るのが好き、それが絶対正義！」って人はですな、オートバイの性能なんかより、自分の性能を向上させましょう。そっちのほうが、間違いないって。
事例としてはですな、全日本エンデュロー選手権で走っていたヤツが乗るクソボロの初代セローが、峠道で下りで逆ハン切りながら、それまで「オートバイで速く走るにはね」とか偉そうな講釈垂れていた連中が運転する、YZF-R１とかGSX-Rを、余裕でバンバン抜きまくるのですよ。ホント、マジで運転技術の次元が違うの。
ところが後日、そんなセローが同じ道路で、明らかに業務用の小汚いハイエースにアウトからぶっこ抜かれるのを目撃し、「ああ、やっぱりモトGPはF1には勝てんのか。てか、乗り物の性能で優劣を決めたがる連中って、真正のアホや」と痛感しましたです。
で、話は戻るのです。オートバイはみんな一緒なら、なんでこんなに多くの会社が存在し、それぞれ様々なオートバイを販売している現象って、一体全体、なんなのでしょうね？
何故なら、ブランドとか、デザイン（見た目）とか、そーいった表層的な部分での差異が、個人の美意識・価値観に適合するかどうかが、大きいからなのです。極論すれば、オートバイ選びなんざ、個人の主観に基づいた見た目、すなわち自分がカッコイイかカッコワルイか感じられるかどーかだけ。
それでいーと思うのです。
まあ、運転してみた感じってのもありますわなあ。でもそれ、見た目の「カッコイイ」と、大して変わらんと思うのですよ。見た目のカッコイイより、運転した感じのカッコイイが偉いみたいな風潮がありますが、どっちもどっち。
見た目は最高で、性格最悪のご婦人と、見た目最悪・性格最高のご婦人。
性格最高で知性の欠片もないご婦人と、性格は最悪でも知性が溢れまくるご婦人。
見た目も性格も最高だがアッチが駄器のご婦人と、見た目も性格も最悪でも最高に名器なご婦人。
イロイロあるでしょーが、選択肢は。でも、どの「最高」が正解ってないでしょ。
自身の道楽世界の「最高」を決めるのは個人の主観。それこそ、愛好家の数だけ千差万別。だから文化発祥の土壌となるのです。
だからこそ、当たり前ですが、正解も絶対的正義も存在しないのが道楽世界の不文律。
仕事で納得いかない事も「是」として、家族や生活を維持する事に疲れ切ったオッサンが、心の休息と開放を求めてのオートバイ道楽。なのに、そんな道楽世界において、初心者・若年者といった形式上「自分より弱い立場」の人を相手に、自分の価値観を押しつける。
自らが日常のストレスを癒す目的で行っている道楽で、他人にストレスを強要する人って、どんだけ精神が幼稚で知性や良心の欠片もないのでしょうか？
まあ、しょうがないですわな。いい歳して、オートバイなんて底の浅い道楽に興じている連中、総じて低学歴ですから。
・・・最近免許をとってオートバイを購入。それで1人ツーリングを堪能した際、立ち寄った道の駅で、何やらぎょうらしいオートバイに乗っていた見ず知らずのアカの他人のオッサンに、「半袖でオートバイに乗るな！」と、意味不明な説教を受けた知人に、つい最近、こんな感じで罵られましたです。
私、関係ないだろが。なんで私が悪いんだよ・・・。
いずれにしても実際に説教しなくても、この説教オヤジと同じような感覚があったり、ネットで「自分の価値感が絶対正義」みたいな事を発信している人、アンタ、人間としてかなりダサいぞい。
