直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

自己紹介の理由

ほら、良くあるじゃあないですか。ブログで「こんにちは●●です。久しぶりの更新で~す」で始まる記事。これ、考えたら不思議ですよね。だってブログは開設した本人以外、記事を更新しないのですから。なのにワザワザ改めて自己紹介をする意味ってないじゃないですか。

これではまるで、自分がネット上の人気者で、多くの人々がブログの更新を一日千秋で待ち焦がれていると勘違いしている、残念な人みたいに他人の目に映りますよね。そんな恥ずかしい事、誰もやらないと思うのですよ。しかし現象として生じています。

で、考えてみました。

Aさんは、親元を離れて東京でのアーバンライフを満喫する一人暮らしの大学生。
そんなAさんはある日、ブログを開設。自分の好きな音楽や料理、自宅付近を散歩して感じた事や、時には社会や環境問題の事なんかも記事にしたりしました。

やがてAさんのブログにも、多くの人々が記事にナイスやコメント残すようになり友だち登録やリンク登録されるようになりました。

そんな中、Aさんが記事を更新すれば必ずコメントを残す、Bさんなる人物が出現しました。Bさんは当然ながら、Aさんのブログをお気に入りに登録。Aさんも、まあ、Bさんのブログをお気に入り&友達登録をしました。

そんな感じでAさんとBさん、ブロ友としてブログを楽しむ日々を送りました。

ある日の事、たまたま見かけたブログの記事、非常に愉快な内容だったのでAさんはコメントを残しました。
するとその数時間後、自分のブログにBさんからコメント。
「何で自分以外の人のブログにコメントを残すの?」との事。
Aさんの全身を悪寒が駆け抜けます。

でもAさんは大人の対応。
「Bさん、お気に触ったのであれば謝ります」との返信コメントを投稿。
Aさんは、しばらくブログの更新はおろかアクセスする事も控える事にしました。閉鎖も考えましたが、Bさん以外にも友だち登録してくれた人々もいましたし、これまでブログで築いてきたネットでの人間関係を一度に廃棄してまうのはもったいない、まあ、未練があったわけです。

それから3ヶ月が経ちました。

久しぶりに自分のブログにアクセスしたAさん。その日の訪問者数は2人だけ。
まあ、3ヶ月も放置したのですから当然でしょう。ところがコメント数は結構な数、増えています。
ブログ開設者にとってコメントは嬉しい事です。悪い想像もしてみましたが、欲求に勝てずコメントチェック。

「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」
「何で更新しないの?」

放置してから3ヶ月、Bさんから同じコメントが毎日投稿され続けていたのです。
Aさんは悲鳴を上げました。

愕然としたAさん、恐怖に震えながらも事の顛末を確認する事にしました。でなければ、今現在、自分が置かれた状況が把握できませんから。
「何で更新しないの?」は、ず~っと延々と続いています。ところが数日前から、コメントの内容が変わります。

「●●駅って初めてきました。意外と良い所ですね。ブログで記事にされていたように、駅からAさんの家まで歩いて15分で間違いないですよね?」
「今日はマンション・アパートを7軒も回りました。疲れた~。明日もがんばります」
「そういえば、■月×日の記事で▲▲公園が東にあるってなっていたから、公園の西側って事だった。これで随分と位置が特定できるじゃん」

そして本日の、Bさんからのコメント。
「今日行くマンションが最後だから、絶対に会えるはず。Aさん待っててね~」

Aさんは恐怖に苛まれながら、自分の自宅周辺の画像や情報を、安易にブログに掲載した事を後悔しました。

そしてこの最新コメントを読み終えた瞬間、家のチャイムが鳴ります。
Aさんは心臓が止まりそうになりました。思わず声を上げそうになりました。しかし、Aさんは必死に堪えたのです。

玄関のカギをかけ忘れていたことを思い出しましたが、今、動いたらAさんの負けです。そのままAさんは沈黙を守り、5分、10分、30分と時は過ぎていきます。
チャイムは最初の一度きり。外の人物がドアノブに手をかけ、ガチャガチャとする事もありません。
そして1時間後、Aさんは抜き足・差し足・忍び足で玄関に向かいます。

玄関に辿り着き、ドアスコープから外を覗きます。誰もいません。
とりあえず安心したAさんがドアロックに手を伸ばした瞬間。
ドアノブが素早く回り、勢い良く玄関のドアが開きます。その隙間から伸びた左手がAさんの口を塞ぎ、その「人物」は家の中に滑り込んできました。

床に横たわる、二度と動く事のない息絶えたAさんであったモノ。
その傍らのPCに誰かが向き合っています。その人物は、Aさんのブログにアクセス。そしてタイピング。

「みなさ~ん、お久しぶりです!Aで~す^^」

うん、こーゆー異常事態でも起きない限り、自分のブログでわざわざ自己紹介する理由はないわな。