直六国防挺身隊

母は来ました今日も来た。嫁をイビリに今日も来た。

まあ、私は本日で仕事納めなのですよ

例えばですね。

先程、夕方、銀行に行ったのですな。
雨が止み、西の空、厚ぼったく垂れこめた空を覆う黒鉄色の雲が2ヶ所ばかり不自然に切り裂かれ、、晩秋の落ち日が顔を覗かしていたのです。
あまり遭遇しない風景ですが、まあ、明日は晴れそうなのでラッキーです。

銀行で用事を済ませ、建物を出ると暗くなった空の下、駐車場にポツンと軽のワンボックス車が停まっています。車内灯がともり、貧乏くさい黒いジャンパー姿の若いご婦人が真剣な眼差しで、手板に挟んだ書面に必死に何やら書き込んでいます。

暗澹たる気持ちになります。

師走と申しましてもですな、ちゃんと旧暦に当て嵌めれば、今は所詮は霜月です。
寒いというよりに身に染みる冷たい空気がまとわりつく、そんな秋の終わりの夕暮れに、何が悲しくて殺風景な銀行の駐車場で、頼りない軽自動車の運転席に座り、いそいそと帳面書きをしているのでしょうね。
なんか、もうね、陰鬱たる労働の痛ましさ、先のない生活のいじましさ。

でも彼女の一番の不幸は、ボロボロのスエットに色褪せ食べこぼしの染みまみれのどてらを羽織った、スダレ禿で加齢臭フンプンたる気色悪い不審者モード全開のオッサン如きに、そのように思われている事ですな。

南無三。