楕円の罪
四気筒状態であったKZ1300。
まあ、9月以降は全く乗っていないのでどーでも良いのであります。
で、先週、キャブを車体から外して、バラしてみました。すると、赤茶色のブヨブヨしたゲル状の物体が盛りだくさん。
フロート室に大量の水が混入していたようです。
で、掃除して組み直し、車体に取り付けました。でもってエンジン始動だよおっかさん。
案の定、普通にかかるワケです。
30分ぐらいアイドリングさせ、ジョウロでエキパイに水をかけたら、1~6番までみんな「ジュッ」と音がします。
完璧ですな。後は日を改めて同調とって完成なのであります。
でですな、Z/KZ1300の純正キャブ。
まあ、ヘンテコリンな代物だと散々書いてきましたが、基本的には普通の負圧キャブです。なので、組み立て&調整&取り付けする上で特に難しい事はありません。
ですが、個人的に気になる点をいくつか述べてみようと思いますです。
車体から外すのは、まあいいでしょう。分解するのも問題なし。
負圧キャブの場合、ダイアフラムを交換したいじゃないですか。もちろん純正は販売終了。
でも大丈夫、山之内キャブレターさんに注文すると新品が手に入ったと思います。ただし、むちゃくちゃ高かったと記憶しています。1つ確か8000円ぐらいでしたっけ?5年以上前の記憶ですから全くあてにならんです。
でまあ、頭の部分をバラすとですな、バタフライをパカパカ動かすロッドも外す事になると思うのですよ。
要は、キャブの頭をバラしたら、同調をやり直さなくてはならないワケですな。メンドクサイ。
それと、チョークのリンケージ関係、スムースに動くかチェックしましょうです。
このバタフライをパカパカ動かすロッドのアジャスター、締めこむとバタフライ閉まります。てなワケで緩めると開きます。
マニュアル指定では、アジャスターを底付きするまで締め、それから1と1/2回転戻すとなっています。
コレが基準ですな。この状態で車体に取り付けて、それから本格的に同調をとるのです。
なおこのアジャスターを締めたり緩めたりする際、ラジオペンチとか使っちゃダ~メです。
専用工具があったのですが、今は販売中止。
アマゾンとかモノタロウさんで、3.2ミリの片口スパナを買いましょうです。
SJは以前も書いたのですが、頭の部分が歪みやすいので、外す時は要注意。
ちなみSJ、純正は販売中止。外国産のOHキットに入っているヤツを使うか、山之内キャブレターさんに注文です。
一方、MJはいわゆる「ミクニの丸大」ですから、近所の部品屋さんで買えますです。
なお純正は、SJは42.5番、MJは110番です。
次に油面ですな。
油面のマニュアル指定は、フロート室の繋ぎ目の下6.5~8.5mm。
まずキャブを、車体に仮付するなり、角材で立たせるなりして油面を測ります。
油面が規定値内でない場合、再びフロート部分をバラして、フロートの爪を起こしたり寝かせたりするのです。
起こすと油面は下がります。寝かすと上がります。
こーゆー作業を規定値内になるまで、延々と繰り返します。コレが非常にメンドクサイ。
油面なんてどーでもイイと思われがちですが、意外と影響ありますです。
ちなみにフロートバルブ、受け側とセットで純正が買えますです。お値段は1個3500円ぐらい。3つ要りますから1万円。高いですなあ。まあ、Z/KZ1300的には通常運行です。
キャブの部品は、意外と純正が出たりする場合もあるので、手に入るものを片っ端から購入。
それから、山之内キャブレターさんや外国製のOHキットで足りない部品を揃えるって感じでしょうな。
さてさて、こうして生まれ変わった純正キャブレター。早速、車体に取り付けましょう。
インシュレーターを見てみます。そーです楕円形です。
つまり、こんな変則的な形状のインシュレーターですから、他車流用とか絶対不可能なのです。純正は当然ながら販売中止。
で、これが破れて穴が開いていたりすると、もはやどーする事もできません。
ビトーさんトコのFCR30万円コース以外、解決策はアリマセンです。
Z/KZ1300のFCR、キャブ本体は20万円しないのですが、ヘッド側からニョッキリ伸びている丸が2つ並んだ横長で変則形状のインテークマニホールドに対応するアダプターが必要です。これが1セット9万円するのです。
確かに最終手段ですが、それでZ/KZ1300が動くのであれば安いモノ。
ラッキーな事にインシュレーターが無事な場合、まあ大概そーなんですが、シリコングリスをハンドクリームよろしく塗り込んであげましょう。多少は長持ちするかもしれません。
でまあ、キャブがとりあえず車体に付きました。インシュレーターのバンドを締める前に、エアクリーナーボックスをキャブに嵌めるのですが・・・コレ、私だけかしら?異常に嵌めにくい。
Z/KZ1300のエアクリーナーボックスは3分割タイプ。
キャブと嵌るボックスと、フィルターが嵌るシート下のボックスと、その2つを繋ぐ、無駄にデカいボックスです。
で、キャブと繋がるヤツに、これまた楕円のゴムの輪っかが3つ付いています。これ、よく破けています。純正は販売中止で、他車流用は絶対不可能。一般的なパワーフィルターも使えません。キャブ本体が楕円ですから。
破けていた場合、まあ、「汎用パワーフィルターが使えるようにする為」にFCR30万円コースです。
破けていない場合は、これまたシリコングリスを塗り込みましょう。
話を戻しまして、私のようにキャブにエアクリボックスを嵌めるのが大変!って場合、まずフィルターが嵌るボックスを外します。これ、車体左側からではなく、上に向けて外すとスンナリいきます。
それからキャブが嵌るボックスをフレームに通してキャブにあてがいます。
この際、下のボックスとの間に挟まるパッキンを忘れずに。ちなみにこのパッキンもよく破れて、金属のベースから剥がれていますです。これまた純正は販売中止で、他車流用は絶対不可能。大切に扱いましょう。
で、キャブ本体のボックス側を上に向かせます。この際、ボックスのゴム野郎の下側が噛んでいないのか要チェックです。
噛んでいなければ、キャブ本体を水平に戻し改めてキャブがゴムを噛んでいないのかチェック。
こーしてボックスの左右両端に手をあてがい「せいや!」と押し込みます。この際、シリコングリスが威力を発揮します。無事に「ブリン!」と嵌ったら、三度目のゴムが噛んでいないかチェックをします。
それからバンドを締めたり、燃料ホースを電磁バルブに繋いだり、ワイヤーを付けたり、ボックスをネジで固定したりしますです。
結局ですな、Z/KZ1300のキャブ関係、中身の問題より車体に取り付ける際の周辺部品、特にゴム関係が「アイタタタタ」です。それもこれも全部、キャブ本体が楕円だからです。
変な話、長持ちさせる為なら9万円のアダプターを買ってさっさとFCRにして、ゴム関係が丸で済むようにしたほうがいいと思うのですよ。
特殊形状のゴムや樹脂はほとんど場合、再生不可能ですからな。新品が手に入らないのであれば、手に入りやすい部品で対応できるようにするのが上策。
そんなワケでして、全国のZ/KZ1300オーナーの皆さんは、1人5セットずつビトーさんのFCRを買いましょう。そうなれば、多少はコストダウンで安くなるかもしれません。未来のZ/KZ1300オーナー達のため、今こそ現オーナーさん達が犠牲になる時なのです!
ちなみに私は、現Z/KZ1300オーナーさん達の英雄的犠牲の後、安くなってから買います。